買ってもらったのは幼稚園の頃だったので内容はあまり理解できず、絵をながめるだけでした。全体の雰囲気がちょっと怖い本だったという印象があります。
ポラカンタスとステゴザウルスは、水べのやわらかい植物をたべるのがすきでした。しかし、すべって水の中におちてしまったときには、重いよろいのために、もぐってしまいました。みずからでることができずに、そのまましずんで、おぼれてしまうこともありました。
このような解説のおかげでなんとなく気が滅入ったことも覚えています。怪獣ならば架空の世界のものとして、たとえウルトラマンにまっぷたつにされようとも楽しめました。しかし「恐竜のはなし」はかつてこんな生物が存在したのだという事実をきちんと示し、それが命を持った存在であったということを強く意識させます。溺れ死ぬとか言われれば嫌な気分にもなりましょう。
最初のページに現在のはちゅう類として「ワニとワニのあかちゃん、トカゲ、カメ、それにヘビ」の絵が出ているのですが、私の手によってワニは緑色に、トカゲは茶色に、ワニの卵はピンク色に塗られています。
色がついていなくてつまらないと思ったのか、怖い雰囲気を和らげたいと思ったのか、その動機は不明ですが塗らずにはいられないという衝動にかられたようです。カラーサインペンを使った塗りはかなり雑で、塗ってはみたもののその出来栄えに我ながらがっかりしたこと、それと同時に親に見つかったら怒られるとびくびくした記憶が蘇ってきました。
研究が進むことによって恐竜の常識も変わってきます。昔は恐竜に体毛があった可能性に言及しているような本などありませんでした。またブロントサウルスという恐竜ひとつとっても、私世代にとっては水辺の巨大な草食恐竜の代表格なのに、実際には存在しなかったと図鑑から消えたり、最近になって本当はいましたという論文が発表されたりといろいろ忙しいです。
日々変化する情報の中、1967年初版のこの本が絶版なのは仕方ないことかもしれませんが、図書館で借りられる可能性は高そうです。