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昔読んだ児童書をもう一度読んで感想文を書いてみる、個人の企画サイトです。

異物混入のお話 その1

異物混入のお話 その1
イラスト:あみあきひこ

飢餓食入門
1970年代の中頃には「エクソシスト」を始めとするホラー映画ブームの影響もあって、たくさんの怪奇関連の本が出版されました。「ノスタル爺の懐かし玉手箱」というサイトでは当時のバリエーションに富んだ「怪奇系児童書」の一端に触れることができます。

心霊現象やUMAを扱ったものが多い中、異彩を放っていたのが上記サイトでも紹介されている「飢餓食入門」という本でした。災害や人口増加で食料不足に陥った場合のサバイバル食についてのウンチクが詰まった内容で、ミミズやフナムシなどを食材としたありとあらゆるゲテモノ料理が紹介されていました。文章は割とまっとうなのに、全体としては子どもに「ウェッ、こんなものまで食べるの!?」と思わせることに主眼を置いた、怖いもの見たさを刺激する作りになっていたと記憶しています。
かなり欲しかったのですが、虫嫌いな母親がいい顔をしないこともわかっていたので、本屋さんに行く度に立ち読みをすることで欲求を満たしていました。

その影響でしょうか。大人になってから外食先でワニ、カエル、アリ、サソリなどの珍しいメニューを見つけると好奇心に負けてつい頼んでしまいます。ちなみに一回口にするとそれで満足してしまうためか、リピーターとなった食材はありません。


居酒屋にて

もちろん、本来は入っているはずのないものが料理に混入している状態は嫌です。

以前に知人と居酒屋風のお店に行った時のことです。おつまみのひとつとして出てきたお好み焼きに目をやると、熱せられた鉄製のお皿の上でジュージューいっている生地の端に、半分ほど身を沈めた体調1.5センチくらいのチャバネGさんがいることに気づきました。

繁華街の飲食店に出現する虫には寛大な方です。お客さんにくっついて一緒に入店される場合もけっこうあると聞きますので「衛生管理がなってない!」と声高に叫ぶ気もありません。お店の人にそっと告げて、料理を替えてもらえばいいだけの話で、うまくすればお詫びとして一品サービスしてもらえたりするかもしれないラッキーイベントのひとつくらいに思っています。
ただ、この時はひとつ問題がありました。知人とそのお店の店長は友達だったのです。「俺の友達がやってる店なんだ」と言って連れてきたのに虫入りのお好み焼きを出されたとあっては知人も面目が立たないでしょう。一方の店長もやっちまった感にさいなまされるに違いありません。カウンター席だったので他の従業員にこっそり伝えるのも難しい状況でした。

久しぶりに会って楽しそうに話している知人と店長の気分をたかだか2センチに満たないチャバネGさんのために台無しにするわけにはいきません。ちゃんと火も通っていて悪い菌も死んでいそうでしたので、そのまま完食するという選択肢も頭をよぎりましたが、結局は該当部分を箸で分離して誰にも気づかれないように足元に落とし、残りを美味しくいただくにとどめました。
後から考えれば「あー、ちょっと虫が入っちゃった。ごめん、替えてもらえる?」くらいで済んだことなのかもしれません。虫に対するハードルの低さもあってこんな行動をとってしまったわけです。
まぁ、お好み焼きは美味しかったですし、和やかな雰囲気のままお店を後にできたので結果オーライということで。

ただ、自分のようにある程度虫に耐性のある人以外が同じようなシチュエーションに出くわしてしまった場合、いったいどうやって乗り切ろうとするのかはちょっと興味のあるところです。

虫が苦手な方には大変申し訳ないのですが、異物混入のお話はあと2回ほど続きます。

(2018.6.10更新)

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