表紙に描かれているおばさんはネズミっぽい動物の背中に乗って川を渡っています。本編を読むとこの動物がレミングだということがわかり、ノルウェーの作品であることを感じさせてくれます。
「だめだわ。日曜までまつよりないわ。だけど日曜になると、人がいっぱい森にでかけて、コケモモとりをする。となると、だれかがあんたをつかまえて、あんたをとじこめちまうかもしれないし、とじこめられるなんてことになったら、あんたは、ほんとうにつらいだろうねえ。(後略)」
子ガラスを案じるあまり、結果として自分が閉じ込めてしまっていることにおばさんは気づいていません。
ある日、屋根裏部屋に入ってきた大きなハチを追い出そうとして窓を大きく開け放った瞬間、おばさんは小さくなってしまい、そして子ガラスに咥えられて外へと連れ出されてしまいます。
森に帰ってきた子ガラスをたくさんのカラスが迎え、そしておばさんはカラス会議に引き出されました。早く家に帰して欲しいというおばさんの希望を、今度はカラスたちが様々な「親切な理由」で却下していきます。
もう、おばさんはとてもかなしくなって、木の根っこにかじりついたまま泣きました。もう、なんののぞみもなくなったんです。
「あたしがあんなにふうにしたのは、しんせつにしたかったからだけなのよ。」
おばさんは泣きじゃくりました。「あたしは、このちっちゃなカラスの子が、それはすきだったのよ。」
親切も時としてあだになるよというお話で、いつもは機転を利かせて問題を解決していくおばさんがやり込められてしまう展開が新鮮だったことも印象に残った理由のひとつでしょう。
この本を読んだ時よりもっと幼かった頃、ケガをしたアマガエルに赤チンをつけて世話をしていたつもりが結局は死なせてしまって大泣きしたという経験があったので、おばさんの心情がよく理解できたのかもしれません。
せっかくなので図書館で借りて読んでみました。
前の2冊と違うのはおばさんとご亭主がオンボロ車で小旅行に出かけるというメインストーリーがあり、その先々でいつものような騒動が起きるという5つのお話で構成されている点です。
各話ではその後自宅に迎えることになる子ネコ、子ブタ、子イヌ、メンドリとの出会いや、ご亭主のおばさんへの愛情が描かれていて、ほのぼの気分を味わうことができました。