人間と仲良くなりたいと思っていた赤おにが家の前に立て札を出します。
こころの やさしい おにのうちです。
どなたでも おいでください。
おいしい おかしも ございます。
おちゃも、わかしてございます。
ところが人間たちは怖がって近づいてきません。
がっかりする赤おにに親友の青おにが、自分が一芝居打って村で暴れてみせるので殴ってやっつけろと提案します。悪い鬼を懲らしめれば人間の信頼を得られるという目論見です。
この策は功を奏し、良い鬼として認められた赤おにの家にはたくさんの人々が訪れるようになりました。
赤おにがしばらくして青おにの家を訪ねるとそこには誰もいませんでした。ふたりが仲良くしていては人間に怪しまれると懸念して旅に出てしまったのです。
家の扉には赤おにに宛てた手紙が貼られていました。
(前略)
ながい たび、とおい たび、けれども、ぼくは、どこに いようと、きみを おもって いるでしょう。
きみの だいじな しあわせを いつも いのっているでしょう。
さようなら、きみ、からだを だいじに してください。
どこまでも きみの ともだち あおおに
赤おには手紙を何度も読み返し、そして涙を流しました。
ちなみに数ヶ月前のWikipediaのあらすじには「その後、赤鬼が青鬼と再会することはなかった」という記述があったのですが、今チェックしてみたらなくなっていました。
「ないたあかおに」の本はいろいろ出版されています。偕成社のこの絵本ももちろん今でも本屋さんで売られています。表紙に描かれている赤おには雲に乗って空を飛んでいて、ちょっとカミナリ様っぽいです。
※今回からきみこさんにもイラストを提供していただいています。きみこさんについてはこちらをご覧ください。