ネット通販が存在しない当時の購買スタイルは「本屋さんにあるものを買う」というものでした。
書店による取り寄せシステムのことは知っていても、それは大人の世界の話であり、子どもが恩恵にあずかれるようなものだとは思ってもみませんでした。
品揃えの良い大型書店は電車で30分以上かかるためそうそう連れて行ってもらえるものでもなく、公立図書館ができたのは小学3年生の頃でしたので、店頭にない本に関しては「いつか読めればいいな」くらいの気持ちでいる距離感が身についていました。
旅の途中で出会ったのねずみのダニーの忠告にも耳を貸しません。それどころか、気になってついてきてくれた心優しいダニーのことを見下し始める始末です。
「(前略)はじめて、ひろいよの中にでてきたわしが へいきなのに、うまれてからずっと ここにすんでいるダニーが、いまにもなにか、おそろしいことが おきやしないかと、ようじんしている。プッ! なんておくびょうなんだろう。」
じいさまがえるのことを思って、いつもより慎重に周囲を警戒してあげている責任感の強いダニーに対してこんなことを思うのですから、もはや老害ここに極まれりといった描かれ方です。
いち早く危険を察知したダニーから身を隠すように言われても無視して強がります。
「ゲゲゲロ。こわいものなど、なにもきやしないよ。わしは かくれたりなんかしないぞ。」
こんなじいさまがえるが農場の少年トムにあっさり捕まってしまうのは当然の報いといっていいでしょう。
表紙や挿絵に描かれているじいさまがえるはヒキガエルっぽく見えますが、ぴょんぴょん跳ねたり池のスイレンの上にいたりする描写があるのでウシガエル的なものだと思います。ヒキガエルはいとことして登場しますし、なにより原書での表記がヒキガエルを表す「toad」ではなく「frog」となっています。カエル好きな子どもとしては若干不満の残る絵ではありました。
手持ちのアニマル・ブックスはこれで最後です。
全巻手に入れたい、読みたいと思っていた時期もありましたが、結局読んだのは20巻中6冊でした。最後に読んだ「じいさまがえるのたび」でカエルの扱いがひどかったために愛想を尽かしたという訳ではなく、成長に伴ってアニマル・ブックスの世界から自然に卒業したのだと思います。