エルマーは、とびあがって、りゅうのくびにしがみつきました。
しばらくぶらさがっていると、くびが、がくんとまがって、エルマーは、すなの上に、ばしゃん とおちました。
エルマーが凝り固まった竜の首や足をなんとか動くように曲げたり引っ張ったりするシーンはお気に入りだったのでよく覚えていました。
動物島で竜は「スカンクキャベツ」や「ダチョウシダ」を食べていました。ふたりが途中で休んだみかん島には生えていなかったのでエルマーがお腹が空いたと言う竜にみかんの皮をむいてあげると
「ぺっぺっ うわあっ まずい!」
りゅうは、げえげえいいながら、おもいきりとおくのほうへ、みかんをはきだしました。
という事態になってしまいました。
自分はみかんが好きだったので、この竜の反応が面白く、また中の実はダメでもみかんの皮ならば美味しく食べられることがわかった時は、竜のためならいくらでもみかんを食べて皮だけあげる!と思ったものです。
このように前作では登場するのが物語の終盤だったために詳しくは語られなかった竜のことがだんだん明らかになってくる巻であり、お父さんお母さん、そして13匹の兄弟姉妹たちと暮らしていたことなども判明します。
ところが食いつきの良さそうなテーマだというのに、宝探しについては「そういえばこんなお話だったなぁ」くらいの薄い記憶しかありませんでした。
前作のようにアイテムを巧みに利用する展開がなかったことが影響したような気もします。
リュックの中身は
ももいろのぼうつきキャンデーが、七本。(これは、また、きっとやくにたつとおもって、のこしておいたのです。)わゴムのたばが、はんぶんばかり。チューインガムが三まい。よくきれるジャックナイフ。それに、からのアサぶくろです。
と、いかにももう一度活躍の場がありそうな書き方をされているのにあまり効果的な使い方をされないまま終わってしまいました。期待してしまった分余計にがっかりして宝探しの印象が薄くなってしまったのかもしれません。
エルマーは、四本のももいろのぼうつきキャンデーを、なめているりゅうに、小さなこえで、ききました。
「きみ、ここから、どこへいくの?」
「ぼくは、そらいろこうげんの、すごくたかい山にすんでいる、かぞくのところへかえるよ。」
そして巻末にある、夜空へ飛び去っていく竜の絵はとても美しかったです。
ところで「エルマーとりゅう」ではカナリアは「カナリヤ」と書かれています。最近では「カナリア」と表記されることの方が多いような気がするので、そんなところにも時代を感じてしまいました。
また自分が小学校低学年の頃はペットとして小鳥の人気が高く、40人くらいのクラスで5、6人は鳥(主に文鳥)を飼っていたなどということも思い出しました。